この記事ではマイクロソフト(MSFT)の銘柄分析を行います。
マイクロソフトといえばまず真っ先に思い浮かぶのはOSトップシェアのWindowsでしょう。
確かにかつてのマイクロソフトはWindowsの販売に大きく依存したビジネスでした。
しかし、今ではクラウドサービスのAzureやエンジニア向けのコード管理サービス、githubなどを有するイケイケの超モダンな テックカンパニーに生まれ変わろうとしています。
最近はweb系エンジニアなら大体お世話になっているnpmもgithubを通じて買収しました。
ちなみに僕はITで起業し自分でもプログラミングもやっています。
その中で感じるのですが、今ではエンジニアにとって必須のツールがマイクロソフト関連のプロダクトということも珍しくなくなっています。
少し前までは、マイクロソフト製品と言うとエンジニアにとってはなんとなく使いたくないものというイメージしかありませんでした。
が、まさに今大きな変化が起きようとしているのです。
未だにマイクロソフトのことをWindowsやOfficeを作ってるイケてない企業だと思い込んでいると、 本質を見誤ります。
大きな投資機会を逃すことになるかもしれません。
(追記)
動画でもマイクロソフト株の解説を行っています。
こちらもご参照ください。
目次
マイクロソフトの株価推移と配当利回り
さてはじめに、マイクロソフト株の価格の推移を見ておきましょう。この記事執筆時点(2020年7月11日)では株価は約214.32ドル、配当利回りは0.95%となっています。
コロナショックの暴落からの戻しもかなり早いです。
マイクロソフトは20世紀の終わりに株価急上昇した後、10年以上の停滞期を経験しています。
その後の2014年から再び大きな上昇フェーズに入っていることが見て取れます。
初めの株価上昇時(90年代)はマイクロソフトはまだまだ成熟しきっていない企業でした。
一般的には、時価総額の拡大とともに収益成長スピードがどんどん遅くなっていくものです。
それに伴い株価も横ばいになるというのはありがちなパターンです。
しかしマイクロソフトは例外でした。
2014年以降、再び大きな上昇トレンドに入りました。
後でも触れるように、この変化には新しくマイクロソフトのCEOに就任したサティア・ナデラ氏の手腕によるところが大きいです。
彼の経営改革によってマイクロソフトは今、最先端テクノロジーを有する高収益企業ヘ生まれ変わろうとしているのです。
マイクロソフトが提供するサービス
マイクロソフトは本当に色々なサービスを提供しています。まず皆さんもご存知のOS、Windowsや多くの会社での業務に必須のOfficeはあまりにも有名です。
これらはマイクロソフトの代名詞と言ってもいいでしょう。
さらに最近ではAmazonのAWSに次ぐシェアを誇るクラウドサービスのAzureが存在感を放っています。
AzureではDropboxやGoogleドライブのように自分のファイルをマイクロソフトのサーバーに保存することができます。
さらに例えば何かWebサービスを立ち上げたくなった時に、マイクロソフトのコンピューターを使って仮想的に自分たちのサーバーを動かすことが可能です。
要するに、自分たちで性能の良いコンピューター用意しなくても、マイクロソフトのコンピューター資源を借りて自由に使えるということです。
ちなみにエンジニアの観点から言うと、やはりまだまだこういったクラウドコンピューティングではAmazonのAWSが頭ひとつ抜けている印象です。
この手の技術は使う側もそれなりの勉強が必要です。
なので一度トレンド化した技術は、本やネットで簡単に情報が手に入れられたりエンジニア同士の勉強会などが盛んに開かれるなど、入門者が勉強しやすいという背景があります。
また、企業が自社サービスのために利用するケースが多いので、安定して稼働してきた実績が必要です。
要するに先行者利益が存在する分野なのです。
とはいえAWSには負けていますが、それでも業界第2位のシェアです。
Azureは先行者利益を活かせる立場ということもできるでしょう。
他にもソースコード管理のgithubは現在の多くのIT企業において必要不可欠な存在となっています。
これは、エンジニアが書いたコードを管理・共有するためのサービスです。
めちゃくちゃ素晴らしい機能がたくさんあるのですが、語り出すと止まらなくなってしまうので一旦省略します。
ただITに興味の無い方でも、githubのアカウントを持っていないエンジニアは二流以下とみなされると言うとその凄さが分かっていただけるのではないでしょうか。
マイクロソフトのサービスはまだまだあります。
ビデオ通話のSkypeもマイクロソフトに買収されているのをご存知だったでしょうか。
他にも海外ではかなりメジャーなLinkedIn(ビジネスにフォーカスしたSNS)もマイクロソフトの傘下に置かれています。
ゲームのハードのXboxもマイクロソフト製ですね。
このように、マイクロソフトはとても一つ一つ紹介しきれないくらい多くの重要なハイテクサービスを提供しているのです。
マイクロソフトの売上や利益は?
まず売上高は年々増加しています。さらに営業利益も、クラウド事業や近年増加しているサブスク型ビジネスが軌道に乗ってきたのか 2016年以降は増加傾向にあります。マイクロソフトのEPSとBPS
EPS(一株あたり利益)とBPS(一株あたり株主資産)も多少の波はあれども長期的には増加基調にあります。 マイクロソフトは自社株買いを積極的に行う企業なので、BPSは多少低めに出てもいいはずです。にも関わらずこの水準のBPS成長を達成しているのはさすがとしかいえません。
マイクロソフトのROE
ROEも非常に高い水準を維持しています。 ROEも20%超え30%超えが当たり前です。こちらは自社株買いの影響で高めに出ていることには注意を要するものの、ほとんどの投資家が満足する水準なのではないでしょうか。
マイクロソフトの自社株買い(発行済み株式数)
次にマイクロソフトの発行済み株式数の推移を見てみましょう。 ここ15年ほどで2割以上の株式流通量が絞られたことがわかります。EPS成長の影には、こういった(投資家にとって有り難い)財務操作があること
がわかります。
ここまで見てきた通り、マイクロソフトはファンダメンタルズの面では概ね問題なさそうですね。
最後にマイクロソフトの株主還元について言及しておきます。
マイクロソフトは株主還元も積極的に行う企業です。
総還元性向は100%以上。
配当金も10年間で3倍以上に増額されました。
マイクロソフトの将来株価予想
このままの成長が維持できた場合、マイクロソフトの株価はどれくらい上がるのでしょうか。過去のBPS(一株あたり株主資産)推移が維持できた場合のマイクロソフトの将来株価を計算してみましょう。
(※なお、ここで用いる計算方法は名著『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』から流用しました)
まず2006年〜2019年でマイクロソフトのBPSは年率8.85%成長しています。
これがもし今後10年維持できたと仮定すると、2029年のマイクロソフトのBPSは33.8ドルに達します。
株価=BPS×ROE×PER
ですから、あとはROEとPERが分かれば2029年の株価が計算できます。
ここ5年のマイクロソフトのROEととPERはそれぞれ
ROE:15〜50%
PER:15〜57倍
で推移しています。
この水準が10年後も維持されていると仮定すると、2030年の予想株価は以下のようになります。
予想株価 | 年平均リターン | |
楽観予想 | 963ドル | 19% |
悲観予想 | 76ドル | −7.6% |
これは配当抜きでの数字です。
悲観的な予想では、リターンはマイナスになってしまいましたが楽観予想ではかなりの高リターンがでています。
現状の成長と、経営効率及びマーケットの期待を維持できた場合、投資家はオイシイ思いができる可能性があることがわかります。
この思惑から、僕自身この銘柄は保有しています。
ナデラCEOによる圧倒的な企業改革
2014年からマイクロソフトのCEOに就任したナデラ氏は非常に有能な人物です。シカゴ大学でMBAを取得していますが、理系の素養もあります。
21歳の時に情報科学の修士号取得したことからもその才能が垣間見えます。
単に学位を持っているだけでなく、githubの買収とその後の運営からも「ガチで技術をわかってる人感」をビシバシと感じます。
従来のマイクロソフトではソフトウェアのライセンス販売によって収益をあげるという構図でした。
これを読んでいる皆さんの中にもOfficeのライセンスを購入したことがあるという人も多いでしょう。
しかし、ナデラ氏以降のマイクロソフトは転換を迎えました。
これまでやってきたライセンス付与ビジネスだけでなく、サブスク型の固定収入が得られるビジネスに手を伸ばすことになったのです。
Azureだけでなく、 例えばSkypeやgithubにも有料の月額課金プランが存在します。
スマホのソーシャルゲームが流行りだした頃からITサービスはフリーミアム形式のものが多く見られるようになりました。
フリーミアムとはフリー(無料)でも遊べるけど、プレミアム(課金)ならもっと多くの機能が使えると言うシステムです。
マイクロソフトもこのトレンドに乗っかった形になりましたが、これほどの大企業を変革するのは簡単なことではなかったでしょう。
マイクロソフトは顧客に自社製品のみを使うことを強制するのではなく、競合のサービスと協力することでより良い顧客体験を実現しようともしています。 (Amazonの音声認識 AI、Alexaとの 連携やサムスンとの協働などなど)
そして、新たなサービスを展開する際に上手にM&Aを成功させてきたことなどナデラCEOの功績は本当に計り知れません。
ここまでCEOが優秀すぎると彼がいなくなった時の反動が恐ろしい気もしますが、逆にナデラが経営の指揮をとってくれている間はマイクロソフト株ホルダーは安心して眠れそうです。
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